製造物責任とは


製品事故とは

 製品事故とは、製品の欠陥や故障、誤った使い方など、製品の使用によって、人の生命や身体、財産などに危害を生じるアクシデントを指します。

製品事故を生み出す原因

製造業者と消費者

 社会において技術が発展するにつれ、高度な技術を備えた製品の制作は専門的な製造業者が担い、多くの人は製品を使用するだけの消費者になります。

 また技術が高度になればなるほど、消費者は製品の構造や使用方法の詳細を容易に理解できず、誤った使用によって生じる危険性を意識しないまま製品を使用してしまいます。

 このような社会構造の変化によって、製造者であるメーカーと使用者であるユーザーが分化し、また、ユーザーは製品の隠れた危険性などの情報を持ち得ないという点で、メーカーとの情報格差を生じます。

大量生産・大量消費の社会

 一方で、人口が増加すると大量生産・大量消費の社会となるため、メーカーは安価に効率的な製造販売を志向します。

 安全性は製品に求められる極めて重要な要素ですが、メーカーにとっては目に見える利益に直結しません。そのため、メーカーが効率的な利益追求をしようと思うと、安全性についての調査や製品の機能が省略されがちです。

 以上のように、作り手と使い手が分化し、メーカーとユーザーには情報格差が生じます。

 そして、消費社会に合わせてメーカーが利益確保等のために製品の安全性確保を疎かにした場合、製品の設計ミスや誤った使い方などによって製品に内在する危険性が発現し、製品事故を生じます。製品事故は、このような社会構造の変化に伴って生じるものであり、社会の変化に合わせて、どのような製品をしていくべきか、安全性をどう確保していくか等を考える必要があります。

製造物責任の意義

 

 製品事故は、メーカーが製品の設計や安全性、危険性、消費者に対する使用方法などを策定する一方で、製品事故が起こった場合の被害は消費者に生じます。そのため、消費者に生じた被害を救済する必要がありますが、特に個人の消費者では、組織力・資金力・情報など、メーカーに責任追及するためには多くのハードルがあります。

 そこで、製造物責任法は、一定の要件を満たすことでメーカーに製造物責任を問うことを可能とし、消費者を保護しています。