そもそも現代社会の製品は科学技術の塊であり、電化製品等が典型なように、すべての製品には多かれ少なかれある程度の事故の危険が潜在化しています。
そして、製品事故の発生を100%避けることはできません。製品事故を生じるファクターは、製品そのものに問題がある場合もあれば、ユーザー側が製品の使い方を誤って発生することもあり、それらの因子をすべて排除することは現実的ではないからです。
そのため、製品事故が発生すれば常にメーカーが責任を負うとすると、メーカーの責任範囲が広範かつ不明確に過ぎ、製品開発を萎縮させてしまうことにより、社会の発展を阻害してしまいます。
メーカーの責任を明確化にし、消費者の安全を守りつつ社会の発展を阻害しないため、製品事故におけるメーカーの責任を定める製造物責任法は、製品に「欠陥」があればメーカーが責任を負うこととしています。
そして、このような「欠陥」を考えるにあたっては、様々な要素を総合考慮して判断がなされることになります。製造物責任法では、考慮すべき要素として、①当該製造物の特性、②その通常予見される使用形態、③製造業者等が当該製造物を引き渡した時期、④その他の当該製造物に係る事情、という4つの要素を考慮するとされています(法第2条2項)。